スリランカ建築行脚(8)
- 松下佳介

- 2 日前
- 読了時間: 5分
スリランカでジェフリーバワの建築を観る旅はライトハウスからアフンガラと続き、いよいよ前半で一番の目的であるヌルガンガへ行く日へとなりました。
先ずはヌルガンガの前に,これもBAWA設計のホテルシナモンベントータビーチホテルへ。
目的はヌルガンガと書きましたが、このホテルもバワにとっての出世作として非常に重要な作品になります。ヘリタンスアフンガッラの宿泊をとる前にはこのシナモンベントータビーチの宿泊も考えていましたが、どこも予約でいっぱいでした。
先に書いたヘリタンスアーユルヴェーダやジェットウィングライトハウスは時期によりますが予約が取れない時期もあるため、予定を早めに入れておくのが先決です。
しかし、バワ設計のホテルは日本人はもちろん世界中から見学者が訪れるため、バワツアーと称して有料で案内いただけるものから(米ドルで10ドルが多かった)、フロントに声を掛ければ案内係がついて一通り見学できるホテルも多いです。(周ったあとに500ルピーくらいのチップを渡すのがマナー)

敷地はかつての統治時代に要塞だったインド洋とBentota川に挟まれた半島のように突き出た場所。
線路を渡るとすぐに石積みの剣豪な擁壁が現れます。そこが車寄せとなっており宿泊者はそこで降りてチェックインを済ませます。
フロントには太陽を表すタペスリー、フロント正面(ロビー)には大地や海、空と太陽の自然を表すタペスリーが飾ってあります。いずれもバーバラサンソーニの作品です。
そして、客室へ向かう為階段を上がるのですが、それが上の写真。どの様な本にも掲載される有名なアングルです。
天井画はエナ・デ・シルヴァの作品
エナはバワと協働していたアーティストでバワは自宅の設計もしています。(シルヴァハウス)※現在は解体移築されヌルガンガの敷地内に建っています。その解体された擁壁の一部がこの階段室の壁の笠木として使用されています。

ナンバリングされている石は解体した時の番号。

こちらがフロント階。同じ階のラウンジとバーがある空間も天井高さが抑えられており視線が下への方へ向けられます。

そして光が差す方向へ振り返るとこの風景。3本のプルメリアの樹が印象的な水庭。向こう岸のラウンジの向こう側も開口部で小さくビーチ側の風景を見てとれます。
そして持ち上げられた客室の廊下は階が上がるごとに跳ね出しており建築と空と水庭が織りなす水平ラインがとても美しい。
※訪れた時はメンテナンスの関係で水量は少なく、実際は水庭はもっと水位が高くなるため、さらに綺麗だとの事でした。

ここで配置図を見てみます。現在は南西、北西ともに客室の増設やカフェ棟などが増え、竣工当時の姿ではありませんが、こちらはオリジナルの図面。
パブリックスペースの上も客室でフロント階で南と北ウイングに分かれています。この様に敷地形状と客室数からバワは緻密に設計をしていた事が伺えます。

これはビーチ側からの写真です。水庭のあるフロント階からは3階に見える建物が擁壁を降りると4階建てのようにそびえ建ちます。今回は残念ながら見学のみでしたのでビーチ側からの景色は望めませんでした。

ラウンジバー。写っているのはバワが設計したモンキーチェア。手掛けがサルの手に似ていっる事からその様な名前になったそうです。竣工当時はサンソーニが天井がを手掛けていたそうですが、これは改修を重ねて現在のデザインになったそうです。

『熱帯建築家 ジェフリーバワの冒険』にはこのビーチと庭園は兄のベビスバワの設計か。と現地調査コメントが書かれていますが、確かにこれまでの庭園と雰囲気が違います。
プール奥には現設計を乱さないように屋上緑化されたカフェ棟が増築されています。

そしてセナナヤケデザインのエレベーターに乗っていよいよ客室に。
見学ツアーではチェックイン前のスイートが空いている場合、見せてくれる事があります。

写真は3階のスイートエリア。写真奥に見えるL字に折れた尖端がエレベーターの降り口。
バワのホテルは何せ動線が長いこと。
※上手な写真ではありませんが、雰囲気が伝わる一枚かなと思い掲載しました。跳ね出しの廊下を歩く時は手摺りも格子状ですし、危うく落っこちそうになるくらいの浮遊感がありました。夜にこの廊下を歩く雰囲気も味わってみたかった。

見学させていただいた宿泊室の一部屋。バルコニーへつながる窓がオリジナルの木製という所が何ともいいですね!部屋は落ち着いた雰囲気でゆったり過ごすにも心地よい広さ。そして、何しろバルコニーからの景色が絶景でした。


そして、こちらがフロント階に戻ってきて、グランド階への階段入口。
中央部分にはラキ・セナナヤケの彫像作品。腰壁のカーブが何とも有機的なデザイン。ガラスの取付けディテールも綺麗に納められています。

階段好きにとってはたまらない。

階段を降りるとこの様な形状。中心が巻貝(シェル)のような形。
手すりも真鍮を曲げて造ったもので、今ではなかなかできない職人の手仕事です。


見学だとグランド階に降りて終了となるのですが、次の日に夕食だけをここに食べに来ることとなって、偶然にもグランド階も見学できました。こちらはビーチと同じ高さにあるレストランの出入口。

私が伺った時は中国人の団体客であふれており、利用者は宿泊客が多いようでした。
コンクリート打放しの天井にはセナナヤケの葉のデザインが彫られており、味気ないコンクリートの表面を少しでも彩ろうとしています。(バワはどう思っているか知りませんが)
この様に年代ごとの建築を観ることによって、敷地によって表情が違うバワ建築の設計手法を垣間見れた気がします。
(9)へ つづく。




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