スリランカ建築行脚(9)
- 松下佳介

- 3月21日
- 読了時間: 6分
更新日:3 日前
スリランカ建築記録を書いてもう9回目ですが、まだ旅の前半のお話し。
シナモンベントータビーチホテルを後にしていよいよルヌガンガへ。
『地球の歩き方』やGoogleで場所は確認していたのですが、途中から車一台がやっとの土道とは思いもよりませんでした。看板が出てくるのも曲がり角と施設につながる小さなロータリーに1つ。シナモンベントータからはそう遠くないのですが、公共交通機関がないため、トゥクトゥクかツアーバス、またはチャーター車で行くしかありません。

道を進むと鉄のゲートが現れ、駐車場スペースがあります。1日3回11時、14時、15時30分の見学で時間前になるとどこからともなく人々が集まり、スタッフが出て来てくれます。※スリランカの人々は時間には結構正確です。
著書や作品集に多く書かれているため、簡単に書きますが。1948年にスリランカがイギリスから独立する前、ゴムとシナモンのプランテーションだった土地を購入して亡くなるまでの間の50年近く手を入れ続けたそうです。コロンボで仕事をした週末はよくルヌガンガで過ごし食事や友人たちとの時間を楽しんだそうです。
兄のベビスバワの設計した庭園が自然に近い形とするならジェフリーの庭はイタリア庭園に影響を受けたものだそうです。私もローマやフィレンツエでいくつかイタリア庭園を見学しましたが、そこまで形式ばったものではなく、現代の解釈に落し込まれたものでした。

受付を済ませて坂を上がっていくと有名なヴィラが出てきます。こちらのピロティをくぐるとバワが使っていたアトリエ。こちらがツアーの始まりであり終着点になります。宿泊を申し込むとこちらの2階(ガラスハウス)やシナモンハウスやメインゲストルームや門番小屋にまで宿泊する事が可能です。

Eastern Terraces and Sandella 床はバワのお気に入りの黒と白のチェック柄。サンソーニがデザインした作品にもこのチェック柄が多く、カンダラマホテルのスタッフ用スカートもオリジナル。
中央のテーブルは実際バワが使用していたもので、調度品もバワの遺産。吹抜け部分の天井は5.2m程度で低い部分は2.7m程度。このスケールはバワの住宅作品に時々使用されています。

窓越しに見える庭園。ここでどの様に過ごしていたかを想像すると灌漑深い。

こちらの相向かいになる椅子はヘリタンスアフンガッラにも出てきました。バワの庭園や建築に配置されている椅子には”そこから見える景色”を考えられた意味が必ずあって、滞在された際はいろいろな場所を探しだしてみて下さい。

メインハウスの中のギャラリー。こちらは見学ではガラス越しに見るだけ。
柱はコーニス型になっていますが、スキップフロア上段と下段で礎石の高さが違うのは柱の高さを敢えて揃えて見せる為なのかスチールの手摺りも面白く本当はじっくり見たいところ。

メインハウスとギャラリーの側を下っていくと左手に水田の景色、右てに蓮池の景色が広がります。写真は小さな小屋がありベンチが設えています。ジェフリーバワは西側に沈む夕日をここに座って眺めていたそうです。(解説を聞いてしまったら、皆さん座りたくなって代わる代わる座ってみました)
ここで補足ですが、スリランカは仏教徒が圧倒的に多く、その他にはヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などに信者もいらっしゃいます。その事でバワの建築に限らず蓮池は登場することが多いですし、玄関の礎石にはムーンストーンといって月を表した半円形の石が敷かれている事が多いです。訪れた際は是非探してみて下さい。

※ルヌガンガからそれますが、ムーンストーン。日本の禅思想でいう結界のようなもの。
お釈迦様がとかれた人生のサイクル生・老・病・死を象徴された動物。蓮の花のもようは悟りの世界(涅槃)。火の模様は欲望、苦悩。白鳥は善悪を分ける知恵や純粋さ。を示すとの事です。写真はベントータからコロンボに向かう途中に訪れた仏教寺院のもの。

水田の風景。湖のほとりにバワが設置したベンチが少し顔を覗かせます。

芝生と敷石がチェック柄にデザインされた庭園に向かう手前の水田。
象徴的な場所に菩提樹が植えられています。


水田横のBROAD WALK を抜けてヴィラのちょうど下あたり。※実際はマップをみないと広大過ぎて一度では把握できません。 ルヌガンガの写真集ではこの辺りのカットで朝日が差し込む美しい景色があり、とても幻想的です。(宿泊すると出会えるかもしれません)

空の鳥かごのオブジェ。自然への敬意と自由への象徴ともいえるオブジェです。スタッフの方が丁寧に説明してくれます。

深い屋根に覆われたコリドール。ラキ・セナナヤケの壁画。壁の抜けはヘリタンスアフンガッラの歩道のデザインにも踏襲されています。

シンハラ王国の伝統的な護衛うぃテーマに描かれた壁画。

シナモンヒルハウスのヴィラ。こちらも宿泊可能。見学時には宿泊者がいらっしゃり見学不可でした。このヴィラは屋外プールに一番近い。

シナモンヒルの広大な丘を登るとゲストルームが遠くに見えてきます。右側に見えるのが先程の壁画がある廊下。

メインゲストルーム。シナモンヒルから見るエントランス。

見学した日はオーストラリアからご旅行のご夫婦が宿泊されており、バワツアーでご一緒しました。この方とは偶然にもベビスバワのブリーフガーデンでも一緒になって話しがはずみ、日本での活躍を激励してくれました。もう5度か6度目のスリランカのようであちこち訪れているとの事でした。

メインゲストルームからの眺め。水田から湖まで望めるようにと高い樹木を植えなかったそうです。バワの庭園やホテル建築には随所にランドスケープデザインの巧妙さが伺えます。
youtubeで拝見した動画のなかで一番ルヌガンガについての内容が多く、私も訪問前に拝聴しました。※ご参考に
この様にしてルヌガンガツアーは終了しました。スタッフの方と周るだけで90分のツアーはあっという間。あまりにもじっくり見れなかった為、スタッフさんにお願いして、スタジオを延長して自由に見させていただきました。この広大な庭園の良さを実感するには1泊でも足らないという実感です。できれば季節や時間を変えて訪れるといろんな風景を感じられるでしょう。
(10)へ つづく。
【旅の補足】
※私が旅した2月で1泊11万円。場所の指定は宿泊サイトで選べます。ガラスの家やシナモンヒル。あるいは門番小屋まで泊まれるようでメインゲストルームでなければ8万円台から10万円のようです(2026.03現在、お確かめください)
見学者は最後に駐車場付近の受付けへ戻りドリンクを飲むことが可能です。私はここでしか見かけなかったバワエステートのポスターを購入しました。(ヌルガンガの初版本は現在、絶版にてコロンボでも売られていません。バワの本をお求めでしたらNumber11もしくはベアフットがオススメです。但し、日本でも購入可能なものは価格が変わらない為、日本での購入がおすすめ)
#ジェフリーバワ
#geoffreybawa
#スリランカの建築
#スリランカ旅行




コメント