スリランカ建築行脚(25)
- 松下佳介

- 2 日前
- 読了時間: 5分
ジェフリーバワ設計のジェットウィングラグーンウェルネスの建築について触れてみます。
竣工当時の名はブルー・ラグーンホテル(1966)
スリランカで最初の観光客向けリゾートとして誕生しました。時を経てホテルは使われなくなり廃墟と化してしまっていたそうです。2012年。創業者の息子であるヒーラン・クーレイ氏が再建して現在のカタチに蘇ったそうです。改修設計はヴィノッド・ジャヤシンゲ氏。
当初はラグーンに向けて開かれた配置を中庭にも長いプールを設ける事で西側にもラグーンを感じられるように改修されました。

ラグーンから見たホテルの様子。正面はブルーラグーンという名のレストラン。左は図書室など入ったエリア。


スイートの入った宿泊棟

レストランの眼の前にイエロー・フレイム・ツリー(黄炎木)※マメ科の樹です。ルヌガンガの菩提樹やシナモンベントータのプルメリア、のように象徴的な樹木が必ず植えてあります。

ラグーンには様々な植生があって、中でもマングローブは自然と共生する大切な役割を果たす。的な事が書かれていた気がします。

朝日が昇る前の時間帯

高低差を利用した芝庭。ゴール要塞の石垣を思い出しました。

レストラン、ブルーラグーン。朝食・夕食ともにここで提供される。

レストランに面したラウンジ。

ラウンジから中庭空間が見える。パラダイスロードでも出てきた回廊形式。スリランカの伝統住居にある。

ライブラリーコーナー

図書コーナーを過ぎて階段を上がると右はThe Legendと書かれた会議室兼ホール。左(ラグーン方向)へ進むとバワパヴィリオンという名のヨガプログラムにも使用されている大きなホールがある。

国際会議とのことで準備が行われていましたが、事情を話すと見学させてくれました。

ここで早朝にヨガ。夕方には瞑想プログラムが行われる。私は瞑想の時間にはチェックアウト予定でしたのでヨガだけ参加しました。

ヨガブロックとヨガマット。かなりぷよぷよなマットで非常に不安定でした。。
壁にはセナナヤケの絵画。

宿泊したのはレストランの南東に一番近い棟の1階でした。そこから正面を見た写真。
竣工当時のエントランス。

プールは高くなっているため、視界には入らない。樹木の向こうにスパエリアがありますが、これも隠れています。左に見えるのが給水塔。ヨーロッパに旅した時も時々見ましたが上水施設が不十分な施設には必ずといっていいほどある。現在はポンプ機器が発達しているので使用されているかは不明。

宿泊した棟のエントランス

室内写真。窓から見えるのは中庭の様子。正面にレストラン棟のエントランス。
出窓の設計がこのホテルの特徴でありアイコン的存在。この1階は通路と同じ高さのため、歩くスタッフや宿泊者と時々眼があってしまうのがちょっと気になりますが。手を上げて挨拶したりと逆にそれを楽しんでいました。

反対側。ベッドが部屋の真ん中に配置されていますが特に気になりません。普段の設計ではどうしても壁際に寄せるレイアウトにしてしまいますが、ホテル建築を観ると固定観念を外されて勉強になります。左側はクローゼット

ベッド背後の書斎机。宿泊している時にはこの机を利用して実測図を書いていました。疲れたらすぐ寝れるため合理的。

そして、この宿泊室で最もわくわくした場所がここ。奥の部屋のバスルームとリビングをつなぐ中庭に向けて両方の部屋から出窓が出ています。

2階の出窓ともつながっており見上げると空が映し出されています。本来の出窓は外部空間を室内に取込むという大切な役割があるため、ここでは遺憾なく発揮されていました。バワのホテル自体、自然との関係性が多様なのでここまでしなくとも自然は感じられるのですが、この様な仕掛けは楽しいですね。

バスルーム。先程の出窓はバスルーム側では洗面台になっています。奥にトイレ、手前はシャワールーム。吹抜けに面しているため外気にさらされています。

壁はモールテックスのような仕上材でした。外気に直接触れるため蚊よけの液瓶(キンチョールのような)をさせるように準備はされていました。

スパの様子。蓮池が中央にあり、右奥に見える机が一応の受付け。部屋番号を伝えて右手に見える入口から施術室に案内されます。今回はアーユルヴェーダではなくサウナを利用しました。水風呂がなかったのが残念です。日本のサウナ施設はレベルが高いので、スリランカで作ったとしても観光客にウケそうです。

ジェットウィングラグーンに1泊して午前11時にチェックアウト。ニゴンボの漁師町を横目で見ながらタクシーでバンダラナイケ国際空港へ。
時間にあまり余裕がなく飛行機に乗り込みインドのニューデリー経由で日本に戻りました。
今回は11日の工程で実質動けたのは9日間と少しの旅でした。約26年振りの海外旅行でしたので行くまでは緊張感がありましたが結果的に充実した建築研修旅となりました。一人旅の緊張感を持ちつつ毎日が感動と気づきが多い旅でした。
バワの作品集で著書のロブソンがこう書いています。
「ほとんど図面が描けず、建築構造を直感的に把握するのみで、庭造りにおいても園芸的知識は乏しかった、、、プロジェクトの主要コンセプトを発展させ、進行に道筋をつけ、十分な結果がでるまで批評家や審査員を演じた。 バワこそが設計に息を吹きかけ最後の魔法をかけることができる人物だった」「土地の独自性を尊重し引き立てること、、、地域主義を信条としているわけでもなく、、、ただ建てるべきものを建てるだけなのです。」
ルヌガンガのベンチで未来の建築像について何を想っていたのか。そのバワの人物について少し触れてみる事ができた気がします。
終わり。
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