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スリランカ建築行脚(14)

Bentota(ベントータ)の最終日宿泊地。Boutique87(旧Number87)へ。

前回、Number87の建築経緯を書きましたので、今回は泊まった感想を独断で書こうと思います。訪れる国も食べ物も、もちろん建築も観る人そのものの感覚といいますか、肌感覚というもので大きく印象が違う気がします。ですのでこれはあくまで私の感想という事です。

Boutique87
Boutique87

先ずはゴールロードから見た門扉。コロンボのNumber11(もしくは33rd)もそうですが87番地という番地が建築名称になっています。門扉のデザインですが、前回のクラブヴィラにもありました。白と黒のデザインはバワが特に好んでいたデザインでアトリエの床や扉、テキスタイルまで使われています。


Boutique87
Boutique87

門扉(入口のゲート)を北に進むとこれまた門扉が表れます。しかし、これは開かずの扉。これから掲載しますが屋外プールの突き当りにある壁であることは敷地内に入ってようやくわかります。


Bourtique87
Bourtique87

ゲート横に鐘が吊下げられており、紐を引っ張るとカランカラ~ンと音が鳴り、中からスタッフが出て来て門扉を開けてくれます。車を駐車して内部に入ると写真の建物が出てきます。スタッフ用の部屋と倉庫のようでした。石の彫刻のようなものが中央に見えますが、これは牛車などの車輪との事です。


Boutique87
Boutique87

先程の建物が左側、右に見えるのが前回書きました、向きを道路側から森の方向に変えた(移築)ヴィラになります。すでに右端に少し見えている建物が今回宿泊するブティック87。ジェフリーバワの設計です。


Boutique87
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こちらがブティック87の正面。中庭から北に建っておりちょうど南を向いています。

左右に1つづつゲストハウスがあり、中央部分がホールになっています。そして2階全体がアートギャラリーになっています。平面上は表と裏、左右とシンメトリーの設計で裏にも軒下空間が存在します。1日2組限定の宿泊施設で宿泊者はヴィラのみならず広大な庭園も自由に散策する事ができます。この日の宿泊者は私のみで、全ての施設を人の目を気にせず堪能できました。


boutique87
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先ずはブティックの中に入ってみます。ホールの丸テーブルでパスポートチェックとサインをしてチェックインを済ませます。詳しくは書かないのですがこの扉も面白い開閉方法で、就寝時の戸締りは宿泊者がするために、スタッフの方が丁寧に教えてくれました。


Boutique87
Boutique87

こちらがホールから北側の写真。絵画や調度品、バワの椅子などが飾られてとても魅力的な空間です。前のクラブヴィラやターラベントータにも出て来ていますが屋根の垂木や野地板が表しているのはバワが伝統建築を取り入れながら現代解釈させて表現した設計だと感じました。床は大判のタイルで壁と木材で白と黒のデザインに統一されています。そして何とも美しい階段が上下階をつないでくれます。


Boutique87
Boutique87

上手な写真ではありませんが、扉の締め方を収めた写真です。両開き扉でさらに上下に分かれています。上下ともにフランス落しの金具で木製の枠に固定します。


Boutique87
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こちらが完全に締めた状態。就寝時は左右の格子がついた窓も締めますが、上部の部分はガラスになるため、照明をつけると外にはほんのり灯りが漏れて美しく光ります。


Boutique87
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ホール全体。階段を上がった所にラキ・セナナヤケのオブジェが見えています。(カンダマラホテルのフクロウ像の作家でも有名)このヴィラはリディア・ディチニの手から離れて荒廃していたそうですが、現オーナーに引き取られて維持されるようになったそうです。

日本の住宅遺産もこの様に体験施設としてもっと活用できれば維持費用の捻出にもなるような気がします(葉山の加地邸など最近では活用されている施設もあるのですが、利用料がとても高額すぎます。施設運用の陥りやすいところですが今後の課題ですね)


Boutique87
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階段吹抜けを2階とつないでいるのですが、面白いのが踊り場を木製の柱で支えているところ。コーニス(中央が膨らんだもので古くはギリシア式のエンタシスから始まる様式)になっています。階段の幅も狭く、袖壁も薄くしあげています。



Boutique87
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宿泊室(西側)。この日は誰もいなかったため、自由に見せていただけました。この部屋はテーマが中国。ホールから先ずは行って眼につくのは仏陀の彫像。西側にはスチールの格子戸があり綺麗な光が内部に入ってきます。(この扉は開いて外部へ出る事が可能)

奥は寝室空間。


Boutique87
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寝室。西側の窓には鉄の格子が見えますが、上下に動くしかけになっています。奥には洗面室とシャワー室があります。


Boutique87
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宿泊したゲストルームの前室。右扉は軒下空間とつながります。昼間はこの扉から外に出るのが便利で良く使っていました。

前室に置かれているこのタワー上のものは「コッタ・パラッチャ(Kotha Palachcha)」というもので伝統的なランプスタンドという事です。(Thaala Bentotaの記事ではわからなかったのですが調べました)周囲に花を飾るのもプルメリアや蓮の花を飾って純粋さや歓迎の意味を表すのだそうです。

神様への敬意と幸運と繁栄などをもたらすものとしたスリランカの伝統儀式で使用されるものだそうです。前室に置かれている意味がようやくわかりました。


Boutique87
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リビング。(先程の別室での仏像が置かれた部屋と同じ位置)スノコベンチは大抵、スーツケースを広げるためのベンチ。正面の上にはバワのお兄さんのベイビスの肖像画があって贅沢ですよね。他にも交友のあったアーティストの直筆スケッチなど盛りだくさんです。天井は2階の床を支えているとは思えないほどの小さな梁が見えます(大丈夫かな)


Boutique87
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そして寝室。天井が高く、外が30度を超えていても割と涼しく過ごせます。(エアコンは完備しているので心配なく)アート作品に囲まれた贅沢な寝室です。外部から完全に遮断されているため、とても静かです。


Boutique87
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ベイビスの写真やバワ(右下)の漫画(とても背が高くて有名だったようで、よくエピソードをお聞きしました)などをコラージュしたもの。中央にはベイビス設計のブリーフガーデンが描かれています。


Boutique87
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では2階を紹介します。ホールの階段を上がった写真。屋根が一体となってかかっている様子がわかります。


Boutique87
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セナナヤケのオブジェ。ブロンズで出来ています。手摺りもないので1階からよく見えます。切妻屋根の棟が中央にみえ、奥に見えるバルコニーの床は1段下がっています。



Boutique87
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2階中央。1階から持ち上げられた窓両側の柱が印象的。(大きな鉄製の格子扉の位置)

中国の坪とモンキーチェアの長椅子が設えています。



Boutique87
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仏陀の造が中央にあり、東西妻側にバルコニーにつながる窓、写真奥側(中庭の方向)は1段下がった屋内バルコニーになります。


Boutique87
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バワ設計のスチール製の椅子がこんなに大量におかれた空間はホテルにも存在しません。贅沢です。南側の屋内バルコニーは低いところで1.3mの天井のため、写真のように1段下がっています。コンクリート造と木造をたくみに使い分けています。


Boutique87
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Boutique87
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東西への2枚の写真。ピーコックチェアも仏像も左右対称配置。中央にコルビュジェとぺリアンのLC4があるのが逆に違和感がありますが。バワの椅子よりリラックスできますよね。。奥にも小ギャラリーがあります。


Boutique87
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最初の軒下空間(ヴィラの入口)に戻ります。陽が沈んでくるとスタッフが照明を付けてくれ、この様な美しい光になります。


Boutique87
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そしてこちらが北側の外観北側の方が日本と同じく雨風の影響が受けやすいのか植物からの跳ね返りもあるのか瓦の変色も見られます。それが植物の色と相まって何とも言えない雰囲気でした。軒下の左に見えるのはバワもよく利用していた椅子で長い手掛けは足をまたがせて寝転がる為のものだとスタッフさんが説明してくれました。勧められたので、暗くなってからの時間にリラックスしてみました。虫の音しか聞こえない夜はおばけが出そうなくらい静かな夜でした。



Boutique87
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こちらが夜中の風景。左右対称なのは2組が泊まった時にも利用できるため。ピロティから外にでる場所に三角の敷石が見えるのがわかるでしょうか?正面玄関にはムーンストーンがありましたが、裏にもこのように結界のための敷石があります。


Boutique87
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夜のヴィラ外観。


Boutique87
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食堂等(兼オーナーの寝室)伝統的なヴィラのプロポーションはとても美しいですね。こちらは床が持ち上げられています。どういった経緯で床が上がっているのかはこれから研究してみます。


Boutique87
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全く庭について触れていないので次回のブログに書こうと思っています。こちらは中庭から見た景色。池の中に島があるのですが、自然にできたものとの事です。生えている菩提樹がとても象徴的で心に刻まれました。広大な庭園で夜に照明があたるのがこの菩提樹のみ。

電気を照らして散策もしてみましたが、足元がみえなく真っ暗闇でした。


Boutique87
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自然との関わり合いを大切にしてきたバワの建築を肌で感じる事ができ、とても貴重な体験でした。

今回はNumaber87(ブティック87)のヴィラを中心に書きましたが、次回は庭園を中心に書いてみようと思います。



(15)へ つづく。


 
 
 

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