スリランカ建築行脚(21)
- 松下佳介

- 8 時間前
- 読了時間: 8分
旅が残る4日となっていよいよダンブッラのカンダラマ・ホテル(Heritance Kandalama Hotel
)恐らく日本人やそれ以外の旅行者がこのホテルを目的にスリランカを訪れる方が多いほど有名なホテルです。設計はもちろんジェフリー・バワ。なんと彼が75歳の時に設計したホテルです。
スリランカは1989年の人民解放戦線以降、衰退していた観光産業を回復させようとしてヘリタンスアフンガッラホテルから溢れる観光客を受け入れるための場所として文化三角地帯をターゲットとしました。クライアントのエイトキン・スペンスはシーギリアを敷地へと考えていましたがバワはカンダラマ貯水池に面する敷地に当たりを付けていたそうです。『ジェフリーバワ全仕事』には現在の敷地の南に農園を持っていたラキ・セナナヤケからも情報を得たのか勧められたのか。と書かれています。 よく聞かれる話しはヘリコプターで視察して決めた。とありますがバワの事なのでこの本に書かれている事のほうが信憑性がありそうです。ですのでヘリコプターで敷地をクライアントに案内した時にはすでに確信していたのでしょう。その後、樹々をかきわけ山を登って説得したそうです。

これが配置図。右側(東)アプローチが見えます。しかし、ここまで辿り着くまでに長い道のりを移動する必要があるんです。
森の中を車で永遠と走るとゲートが出てきます。重りで上下する簡単なものですが側には守衛所のような簡単な小屋があって、車で近づくと泊り客か確認されて通されます。またしばらく敷地内を走ると左手にスリランカの伝統的な小屋が表れます。(※後日、ホテルサイトで確認すると農業体験などで使用する観光用のものらしいです。)さらに1キロほど走ってようやくエントランスに辿り着きます。
バワはシーギリアというロックの眺望より魅力あるこの地を選んだにも”わざわざ森の中に足を運ぶ”といった価値観や特別感を提供したかったのでしょう。
配置図を見て中央部分がフロントエリア、そして東と西に宿泊棟が分かれています。バワは
設計当初、東に宿泊棟を固め、さらに湖に面した計画としていました。しかし、環境破壊という社会的風潮が起こって東と西に分散させ、さらに眺望の為に宿泊棟を湖からセットバックさせたそうです。
現在、東(右側)はダンブッラウイング、西はシーギリアウイングと言われます。有名なインフィニティープールは中央の湖に張り出している尖端部分。

エントランス。すでにこの風景に感動してしまいました。左に岩盤が露出しており外気にさらされたフロント。フロントエリアは白い丸柱で宿泊棟は矩形の柱で色にも変化をつけています。アフンガッラホテルでもフロントエリアとプールを取り囲む列柱、そして宿泊棟の矩形柱。全て色と形状を使い分けしている。

眼前にはカンダラマ湖。左に見える廊下を進むとダンブッラエリアでフロントに隣接してベアフットショップとジュエリーショップが入る。

自称階段愛好家としてはこのアングルはシビレマス。
ホールからエントランスへ。訪れる宿泊者を次に現れる景色へ導くドラマチックなアプローチ。

アプローチを抜けるとホールに出る。チェックインはこちらでウェルカムドリンクをいただきパスポートチェック。その先の光が差し込む方向を見ると、カンダラマ湖とインフィニティ―プールの絶景が現れる。このフロントが5階になりホテルの中心。

外に出ると蛇のオブジェ。バワのガイドブックだと白い蛇のはずが。。。しょっちゅうメンテナンスで壁や扉の塗装を施している場面に遭遇するので、これも黒に塗られたのか。。

インフィニティープール。カンダラマ湖と一体となっている。こうして観るとプールサイドが芝や岩盤ならもっと一体感があるのかもしれません。手前は一般的な深さですが、湖に面する奥のエリアは1.8mくらいあったかと思います。潜ると頭がすっぽり埋まりました。

プールの際の階段を上るとセカンドプールがある6階へ外部からアプローチできる。様々なルートがあるため、このホテルは2泊くらいしないと全貌は把握できない。


5階インフィニティ―プールよりホール見返り。

プール脇にある6階につながる階段

外部階段を上りきるとセカンドプールへ。実はプールに足を踏み入れると山の岩肌がそのまま残されています。

岩肌の様子がわかります。5階プールに対して眺望がまた変わって素晴らしい眺め。建物を背後に感じる為、開放的なのは5階のプール。

6階に上がるとシーギリアウイングが水平に伸びてスリランカの深い深い森の風景が姿をみせます。

5階ホールへ戻りました。ここからシーギリアエリア方向へ進むと6階レストランへ上る直階段が出てきます。ホールに見えるスチールチェアはバワデザインのもの。

バワデザインの椅子はブティック87や他の建築でも度々見かけました。座り心地も良かったです。

こちらは6階ラウンジへつながる階段。ウォルナットの踏面と彫刻が印象的。手摺りの形状がマッシュルームのような形状で有機的。床はウレタン塗装

5階ホールより6階レストランへ上る階段。直階段になっており天に昇っていくようなドラマチックな階段。

正面にラキ・セナナヤケのフクロウのオブジェ。視線を下に向けると階段踊り場にテーブルと椅子。実はジェフリーバワの机と椅子。

バワの机と椅子。灌漑ふけって座ってみました。


実は裏側にも顔があります。これを発見した時、円空好きの(岐阜県出身で全国を歩きながら木彫で仏像を彫り続けた僧侶)私は両面宿儺だ!と思ってひとりほくそえんでいました。

造作がシビレル!胴体部分が抽象的に表現されて頭部と羽を広げた姿が印象的です。どこか仏像を前にした心境になるような気持ちになりました。

ホール見返し。レストランは6階ホールに料理が並びます。ブッフェ形式で食事は室内でいただきます。

6階ホールの奥のラウンジ。ゆったりしていてオブジェも沢山おいてあり居心地のよい部屋

迫力ある岩盤の様子。

トイレへの入口がカーブを描いてバワのデザインにはあまり見られないもの。ちょうど1991年を考えれば白いモダニスト建築にも影響を受けていたのか。

レストラン内部。室内にあって山間部とカンダラマ湖の眺望が一つながりに感じられる場所。日本人の方もたくさんいらっしゃいました。(私は初日に素敵な方と知り合いになって食事をご一緒させていただきましたが、その他にもご旅行中の日本人とお会いしました)


シーギリアロックの見えるレストランの窓際。柱の上に付いているのは構造物ではなく照明ボックス。

遠くにシーギリアロック

レストランから外部に出ると大きなピロティに出る。山側につながる橋があり、その先に進むと迫力のある山肌が現れる。

ホテルではBawaTourと称して毎日、館内を案内してくれるツアーが開催されています。宿泊者や訪問者は無料で参加可能です。午後14時開始ですが宿泊される際に尋ねてみてください。ツアーに参加するとこの様な一見見落としてしまう場所にも案内してくれます。

ここでは1日1組限定でスペシャルディナーが味わえます。同じヘリタンスグループのアフンガッラでもビーチディナーがありました。


ピロティよりさらに東へ進むと屋上へ。芝庭をさらに進むとスパエリアにつながります。そこがシーギリヤウイングの先端部。

奥に見えるのがスパエリア

室内に入ると美しい階段。スパエリアだけはどのホテルも設計に力が入っているため必見です。アーユルヴェーダの施術を受けられる他にマッサージメニューも豊富です。予約は直接でも宿泊室内からでもOK。

アーユルヴェーダを受けるにあたってはアレルギーや症状、自分の体質などのチェックを事前に致します。本来、スリランカのアーユルヴェーダ病院では脈診で診療を受けるのですがホテルは治療というよりスパという性質が強いため簡略的ではあります。

空が切り取られ蓮池が配置されている。敢えて正面の景色が見えないように壁で塞がれています。中庭を囲むように施術室が配置されています。シーギリアウイングの最上階にあるスパでは北でも南でも絶景。
スパの壁の向こう側に絶景が広がります。私はボディマッサージとシロダーラ(オイルを頭部に垂らすアーユルヴェーダの伝統的施術)を受けましたが。頭部はオイルを洗い流さずにしばらく休みます。その間、こちらに案内いただきしばらく山を眺めながら思考をリラックスさせます。この動画は日の出の時間に訪れた早朝のもの。

もともとはドリンク提供用で設えたのかカウンターもありますが使われていない様子。

日の出の様子。早朝の誰もいないなか朝日が昇ってくる様子をただただ眺めていました。
今回はパブリックエリアでもシーギリアウイングのレストラン、スパを中心に紹介しました。ガイド的な説明のみでしたので徐々に建築的要素も書いていこうと思います。
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@geoffreybawatrust




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