撮影/ 早川記録 Hayakawa Shinsuke
Gables House
WHERE; GUNMA ,TAKASAKI
2020.10-2021.04 実施設計
設計,監理:松下佳介
構造設計(基礎):戸田巧建築研究所
施工・監理:株式会社ヤマイチ
Ua値:0.48 ηAC値:1.3 (G1レベル)
床:ビーズ法ポリスチレンフォーム75mm,壁:アクアフォーム100mm,天井:アクアフォーム185mm
群馬県は高崎市、中心部より南の山麓部に位置する造成地の頂上近くに位置する。北側急斜面という建築には不利ともいえる場所であるが、それは裏を返せば北の静かな光が得られる特別な場所になり得る敷地といえる。何より天気が良い日は赤城山麓の絶景を拝められるのが最大の魅力である。最大限敷地の自然を壊さずに建物の配置やアプローチの計画に神経を注いだ。
設計前の敷地見学。クライアント、工務店と設計者で敷地を歩き急斜面の敷地内をぐるぐる巡る。赤城山の絶景が何よりのご褒美!東西に新幹線の線路も見え、高崎、前橋市内を一望できる。 設計者にとってはココが一番神経を研ぎ澄ます時間。
建物の位置をどこにするか、工事はどうすれば可能なのか、周辺環境との関係性も考えて悩める時間のスタート。
テーマは自然を出来るだけ壊さず、造成面積を減らし、この絶景を室内から眺められ、いかに森を取り込む景色を作るか。また、この敷地は北側に下る、いわゆる北側斜面のため、住宅設計のセオリーである南向きを逆行する条件であった。その他にも北側に隣家があり、屋根には太陽光が乗っている。ここに影を落とさない設計も考慮する必要があった。 クリアする条件がたくさんあると悩まされる事が多いが解決策が見つかると良いものが出来上がる。設計冥利につきる。
敷地の造成開始。平地での建築は基礎工事がスタートだが、傾斜地の工事は先ず造成をして建物を建てる土台づくりが最初。 この時、位置を正確に落し込む測量作業を平行してことが大切。
擁壁や境界杭を頼りに業者さんが頑張って作業をしてくれました。 建物の位置を掘り起こした時点で再度、リビングなどから見える景色を想像して設計に間違いないか確認作業を行う。
いよいよ建て方。棟梁はじめ協力いただく職人さんが総動員で一気に屋根まで建てていく。建ち上がると一気に出来上がったように見えるが、基礎工事をしている時も工場で木材加工の準備をコツコツと行ってくれている職人の努力の賜物、晴れ舞台である。雨風をしのぐように屋根、外壁、そして内部へと工事は進められていきます。
外壁は左官下地、内部は吹付断熱工事(今回はアクアフォーム)を施す。断熱材は予算や省エネルギー性能を考慮してそれぞれの現場に適切なものを選んでいく。
バルコニーの手すりの高さや、造作する家具の打合せを詰めていく。仕上げが出来るまで軌道修正しながら完成へ進む。
室内の壁に漆喰が塗られ、いよいよ完成に近づく。書斎にも大工さん手作り書棚(これはお仕事に合わせ、ファイルやシュレッダー、オーディオなど詳細に打合せして寸法を決定)
棚と棚の間に設計者の遊びこころで設計したベンチ。その背中の窓からは訪問者が見える。
書斎テーブルには作り付けの引出し。筆記用具などを入れるため、少し浅めの引出し。
洗面室の鏡。広々とした洗面にものを置かないため、鏡の中を収納にしています。歯ブラシ、石鹸、ハンドタオルなど奥行の少ないものはたくさん入ります。
通常、扉は観音開きにするところ、蝶のように中央部分に挟み込むように開く扉。ドライヤーをかける時に頭の裏まで簡単に見えるようにと奥様のアイデア。こんな工夫や仕掛けが設計の楽しいところ。
高崎の家は浴室も北側に配置して、絶景(夜なので夜景?)が見えるようにクリアガラス窓を配置しました。