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執筆者の写真松下佳介

夏の記憶

更新日:2021年8月23日

毎日,毎日暑さに負けそうになりながら机に向かって図面を描いていると、昔より暑さに弱くなっているんじゃないかと思う時があります。昔の記憶の中でとくに夏の思い出となると和歌山の有田川に飛び込んで遊んだことや、お寺やいろんな建物を周って縁側で涼んだ時のあの風の気持ちよさ、四国でヒッチハイクした時の路面の照り返し、残雪を踏みしめながら登った奥穂高岳の眺め、最近では大工時代に真夏での建て方で屋根の上で汗だくになって作業してたこと、そんな記憶が蘇ります。脳裏に残る記憶はいつもしんどかったり、耐え難かったり、そんな体験と一緒のようなきがします。コロナ渦で今年はどこにも行けないけれど何か夏らしいものが一つでも発見できれば嬉しいと思います。

先日、通常業務を終えた夜を使ってイタリアの建築コンペに応募しました。サンガルガーノ修道院というイタリアのトスカーナ州シエナ県に現存する修道院の屋根とその外部に博物館を設計するというものでした。約800年程前に76年間もかけて建設されたシトー派の修道院です。長年の災害によって屋根や鐘楼が崩壊している状態でこんにちに至っています。途中、ジョンラスキンによって修復を行われましたが、屋根はそのままにされ、出来るだけ当初の状態で保存される事を大切にされてきました。空を望む形で屋根のない修道院はとても魅力的でたくさんの観光客も訪れているそうです。(映画の舞台にもなっていて、建築家の中村好文さんも自身の著書で取り上げています)そんな修道院の屋根の設計という事で自分は日本人として何ができるか、また未来にもつなげていくデザインをどうするか、凄く悩みながら設計しました。結果はどうであれ、3ヶ月近くの期間修道院の歴史も勉強したことは大きな収穫になりました。いつかこの修道院を訪れてみたいと思います。



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