ここ数年、いい建築と、そうでない建築と、違いは何だろうと考える事が多くなった。
そこで出た結論のひとつが精神性。
詳しく書きませんが、そういう事を想っている時に、今日の日曜美術館(NHK)でこの辻村史郎さんの言葉を聞いたのでハッとしました。まさにこういう事だと。
『NHK 日曜美術館引用』
「日本人が好む焼き物は、特にわび茶で使う碗なんかそうですけど、技術を極限まで駆使した中国の焼き物などとは対照的で、人間がそのものに対して入り込める魅力があると思うんです。茶道にしても精神面の方にウェイトが置かれている。だから、どう作るかというよりも、どう生きるかというところでの茶碗になってくる。なんで茶碗1つに魅力があるかっていうと、そこに技術的じゃないものがあるから。技術があったところで魅力ある茶碗ができるわけではない。」
カタチや機能が良い所で、ぐっとくる建築が本当に少ない、そこに創り手の精神世界と人生そのもの、さらには使い手の人生までも重なった時に初めて美しいと思うのです。
私は幼少期に母に連れられアトリエなどに行った経験もありますが、作家や画家のそれは、特別立派な建物であった事はありません。しかし、本棚に並べられた専門書の数々、世界中旅行に行かれた時の調度品や小物など、職業それぞれの世界観がありました。
また何も特別なものではなく、山間の民家を訪ねた時の縁側に野菜を干している風景、板間の台所、土間に置かれたぬか漬けの樽、そういう生活と共にある建築が美しいと思えるのです。
道のりは長いですが、余計なものを削って、削って、よい創作をしていきたいと思います。
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