今回はフィンランド、トゥルクにあるエリックブリュッグマン設計の復活礼拝堂のお話し。
1941年完成のこの建築はその名のとおり、教会堂です。外観はロシア建築や構成主義の影響も濃いように感じますが、何より素晴らしいのは内部空間でした。
礼拝堂に向かって左側には長椅子が並べられていますが、その方向が森に開かれた開口部の方にすこしずらして配置されています。訪れた人々が自然と森の方向に視線を向けるように設計されているのです。また、実測してわかったのですが、森側のピロティになっている空間が礼拝堂から奥の方へ向かって広くなる平面に設計されています。
これは竜安寺に見られるような遠近感の操作ではなく、礼拝堂と外部の森に視線を集中させるためのものだと感じました。
私は数時間、この空間に佇んでいましたが、礼拝堂の横から差し込む光が上空の変化と共に刻々と変化していく様はとても美しいものでした。
壁と天井のつながりは、丸面でゆるくつながり、千利休の待庵さながらのようでした。
時間と空間の関係性にとても感動した建築でした。
インターネットで調べていただければ、本物の写真など検索できると思います。是非、訪れてみて下さい。
ル・コルビュジェが建築旅行をした時に、”カメラで建築を撮っても記憶に残らない、私はすぐカメラを捨て、スケッチを描いた”との文章を読んでから私も旅のお供はスケッチブックとなりました。ですので残念ながら写真があまり残っていません。でも今は検索するとすぐ見つかってしまう時代ですからね。
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