スリランカ建築行脚(13)
- 松下佳介

- 4月1日
- 読了時間: 4分
更新日:4月10日
今回はクラブ・ヴィラ。この話しを書くにあたって重要になるのがこの日に泊まる予定のNumber87(現在のBoutique87,Bentota)との関係です。
バワは事務所での大きなホテルプロジェクトに疲れる一方で小さな規模の仕事が好きだったそうです。バワは伝統的なヴィラを友人に購入させては改修する事が好きでした。
兼ねてから眼をつけていたモホティ・ワラーティーという19世紀に建てられたヴィラがあったので、イタリア人女流彫刻家のリディア・デュチニにも声を掛けました。彼女はスリランカ人のダラス・グナセカラと結婚して、海の近くに仕事場兼自宅を希望していたそうです。
彼女はモホティ・ワラーティーは購入せずにゴール・ロード沿いの(コロンボとベントタをつなぐ主要道路)ヴィラを購入します。バワは西の道路に向けて建っていたヴィラを東の森の方へと向けるように改築し(Boutique87の食堂棟)、今度はその対角線上にヴィラを設計しました。このバワが設計したヴィラがNumber87で現在のブティック87になります。
その後、知人であったセレンティブホテル支配人の友人などにもモホティ・ワラーティーを勧めるも購入せず、結局、バワ自身が購入して現在のクラブヴィラが完成しました。
長くなりましたが、これが紹介するクラブヴィラ設計の背景です。

こちらがクラブヴィラの外観。1981年竣工。
1階がレストランで左奥がフロントエリアとホール。

アプローチに戻ります。ヴィラのエントランスを入ると先ずはこの廊下を進みます。
早速、バワが好んで設計に取り入れた中庭空間が現れます。

廊下突き当りのフロントでチェックしましたら、ホールに招かれます。鯉が泳ぐ蓮池があり、正面に吹抜けのホールが現れます。

光があたる椰子の樹が植わった庭園を窓から望め、ホール左側のセナナヤケの壁画レリーフに視線がいきます。

セナナヤケのレリーフ

とても美しいですね!葉が重なる表現を白く消してとても柔らかな表現になっています。

調度品や設えも私が好きなモノばかりでじっくり愛でたい。宿泊室への扉も同じようですが木製扉のデザインもいいですね。

ヴィラでは食事の利用をすると比較的通してもらいやすいため、事前予約がオススメ。

建物の外観をちょっと北側に振ってみてみます。右側が先程のレストラン、左に宿泊者のテラスが見えます。2階の宿泊室からは線路を挟んで遠くのビーチを望めます。

視線を北に完全に向けると1階のラウンジと2階宿泊室が見えます。こちらの2階は恐らくバワが宿泊していたと言われるテラス付きの部屋になります。バワが好んで泊まるのはスイートではなく、特別景色も良いとは言えない一般宿泊室だったそうです。カンダラマホテルでも同じエピソードを聞きました。バワの人柄を感じる素敵なエピソードだなと感じました。バワは友人達と親密な距離で群れるより、一人の時間をとても大切にした人物のようでした。
HPに宿泊室も掲載されています。ご参考に

庭園に開かれたテラスと宿泊室は外部空間を挟んでプライバシーが確保されています。このスケール感が非常に良かったです。

客室棟から西のビーチ側を見た写真。プールがありますが造成で高さを盛り上げています。右(北側)の塀の向こうはパラダイス・ロード・ヴィラ・ベントータでこれもバワが改修したもの。昔は塀がなく同じ敷地だったそうです。隈研吾さんが改修設計しています。

敷地南側から北側を撮った写真。敷地西側はすぐ線路。(南はゴール、北はコロンボへいく路線)椰子の樹がとても心地よいのはターラベントータと雰囲気が似ています。アフンガッラと同時期、ターラベントータの8年後と考えると設計も類似するものが見てとれます。

一緒に昼食をとったドライバーのJANAKAさんは線路を歩いていました。(私より見学にのりのりになっきた)

これはレストランからすぐ西に建つ建物でスパや結婚式にも使う施設のようでした。中庭に向けて蓮池があり、とても静かな雰囲気ですが、西側から見るとこの様に2層分の断面が現れます。ちょっとこのヴィラにはスケール感が合わない感じがします。
Bnetotaでの見学もいよいよクライマックス。見学後、この日の宿泊先であるブティック87(Number87)に向かいます。




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